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活動内容

要望書

令和8年 4月 18日
全国女性税理士連盟
会長 奥田 よし子

消費税法の改正要望書

消費税は平成元年(1989年)に、税制全体のバランスの中で広い課税ベースと単一の税率により、水平的公平を確保することや高齢化社会の財源の確保等の役割を担うものとして施行された。しかし、制度に内在する手続きの複雑さに加え、その後以下の改正により、税制の中立性と負担の公平を損ない、税額計算及び手続きを一層複雑にし、事業者に重い事務負担やコスト負担を強いている。
 ・令和元年(2019年)消費税率の引上げ及び複数税率の導入
 ・令和5年(2023年)適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入
 全国女性税理士連盟は、飲食料品の消費税に関する今日的議論の状況とフリーランスなど小規模事業者の増加を踏まえ、簡素で公平な税制の構築を目指し、消費税制について以下の改正を強く要望する。

1. 複数税率制度を廃止し、単一税率制度とすること

食料品等に対する軽減税率の導入の目的は、低所得者対策と逆進性の緩和と説明されてきた。しかし、低額所得者より高額所得者の方により多くの負担軽減をもたらし、逆進性の緩和に結びついているとはいえない。
 また対象品目に当たるか否かの判断が難しく、かつ、経済取引の中立性を阻害する要因にもなっている。一つの消費活動に複数税率が混在することもあるなど、事務処理の複雑化による事業者の負担も大きい。したがって、複数税率制度を廃止し、単一税率制度とすべきである。

2. すべての事業者を課税事業者とする一方、零細事業者について申告不要制度を導入すること

課税事業者か免税事業者かの判定に基準期間(原則2年前)を用いる現行の制度では、事業者にとって、基準期間の売上高とその期の売上高とが乖離することもあり、事業者の経営実態と納税負担とが結びついていない。
 また、免税事業者制度の存在は、消費税法をより複雑にしている。インボイスを発行しない事業者が存在することにより、経理処理では区分が必要となり、税額計算及び手続きも複雑になり、事業者の過重な事務負担となっている。
 そして、これまで免税とされていた零細事業者の中には、インボイスを発行できないことで市場取引から排除されることを恐れ、課税事業者を選択し消費税を納税せざるを得ない者も多く、免税事業者制度の存在意義が失われている。
 この問題を払しょくするため、全ての事業者を課税事業者として取り扱うこととし、一方で、その期の課税売上高が一定額以下の零細事業者については、申告不要とする制度を創設すべきである。

3. 簡易課税制度は、事前届出制を廃止し、確定申告時の選択制とすること

基準期間における課税売上高が5千万円以下の事業者は、煩雑な仕入税額控除の計算をせずに、事業区分に応じたみなし仕入率を用いて消費税額を計算する簡易課税制度を選択することができる。この場合の簡易課税制度の選択ないし取りやめは、その2課税期間が開始する日の前日までに所定の届出書を提出する必要がある(事前届出制)。
 また一度選択した計算方法は2年以上継続しなければならない(2年縛り)。
 簡易課税制度の選択は、設備投資の時期にも影響し、この2年内に予期しない設備投資を行ったり、手続きを期限内に行えない事態が生じた場合には、納税額で大きな不利益を被ることがあり、中小零細事業者に複雑な判断と手続きを強いている。
 簡易課税制度の選択に当たっては、事前届出制を廃止し、その課税期間分の確定申告書の作成時に選択適用とすべきである。
 現在、免税事業者がインボイスを発行するために課税事業者となった場合には、消費税額の計算の特例(いわゆる2割特例。令和8年税制改正で3割特例)を選択することができ、この特例は、確定申告書作成時に選択できる。現にこのような制度があるのであって、簡易課税制度の選択に当たっても、同様とすべきである。

4. 消費税法の改正に伴う事務処理やコスト負担の増加に配慮すること

インボイス制度の施行に伴い、経理事務においては、複数税率の区分、適格請求書の確認と保存、各種特例の適用判定が必要となり、加えてその区分や特例の詳細を記載しなければならないなど事務負担は甚だしく増大している。
 今、物価高対策として食料品に対する税率改正が議論されているが、減税分が小売価格を下げるとは限らず、その効果は不透明である。仮に0%(または非課税)、8%、10%の3種類が混在することになれば、レジ・会計ソフトの改修や複雑な税額計算が必要となり、事業者に税務コンプライアンスコストの増加を強いることになる。これらの負担は商品価格に転嫁せざるを得ず更なるインフレが懸念される。また特に食料品に関わる事業への影響は大きく、新たな業種間の不公平を招く恐れがある。
 基幹税として簡素であるべき消費税法の改正や特例の施行にあたっては、その計算を正確にするための事務処理やコスト負担が過重にならないよう、慎重に検討することを強く要望する。

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