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活動内容

要望書

令和6年 4月 13日
全国女性税理士連盟
会長 西原 千景

配偶者控除・配偶者特別控除の廃止及び
基礎控除増額の要望書

全国女性税理士連盟は、配偶者控除及び配偶者特別控除を廃止し、基礎控除の増額を要望する。

配偶者控除は、片働き世帯の妻のいわゆる内助の功への配慮として1961年に扶養控除から独立して別個の所得控除として設けられた。しかし、現状では以下の理由により廃止する時期に来ている。

1. 憲法における両性の本質的平等

憲法第24条は「個人の尊厳と両性の本質的平等」を定めている。これに立脚して、民法は夫婦間における協力扶助義務(民法第752条)を定めている。夫婦は一方が一方を扶養する関係ではなく、対等の立場で互いに協力して生活を営むものであり、今日、社会的にも男女共同参画が推進されている。
 夫婦間に関係する今後の税制は、この認識に立って構築されるべきである。

2. 働き方改革や家族のあり方をめぐる大きな構造変化

1980年には36%だった共働き世帯の割合が、2023年には72%となっており、女性の社会進出等、経済社会における大きな構造変化がおきている。
 今日においてはもはや専業主婦が内助の功として評価される時代ではなくなってきている。
 したがって、専業主婦・内助の功を背景とした配偶者控除等は時代遅れといえる。

3. 就業調整による女性の能力の活用の減殺・人手不足の助長による社会的損失

パート勤務妻の収入は9割程度が150万円未満に分布しており、何らかの就業調整をしていると考えられる。
 就業調整の要因としては、社会保険や家族手当など様々なものがあるが、配偶者控除等もその一因であると考えられる。
 就業調整は女性の低賃金化を招き、たとえ時給が上がっても総収入を増やさない結果をもたらし、経済的自立の妨げになるばかりか、女性のキャリア形成を阻み、人材を有効に活用できないことで社会的にも損失となる。

4. 配偶者控除等を廃止し、基礎控除を増額すべきである

基礎控除額を増額すれば、働いた妻本人の税額軽減につながり、労働意欲の向上にもつながると考える。
 世帯を単位とした配偶者控除等を適用して夫の税金を減少させるのではなく、個人を単位とした税制に近づくことになる。
 少子高齢化により生産年齢人口が減少する中、将来の日本を支えるためには女性の能力の活用が今後ますます重要になる。
 また、共働き世帯と片働き世帯との公平性及び多様なライフスタイルの選択上の中立性を図る必要がある。女性のさらなる社会進出を促すためにも、その阻害要因の一つとなっている配偶者控除等は廃止し、個人単位課税を基本として基礎控除額を少なくとも生活扶助基準額(約100万円)※以上に引き上げるべきである。
 なお、配偶者控除等の廃止にあたっては、子育てや介護をしながらでも働くことができるような労働環境の整備、男女共同参画社会のさらなる推進、社会保障等の充実もあわせて実施されたい。

※厚生労働省「生活保護制度」に関するQ&A」
「Q.5 具体的にはどれくらい保護費が支給されますか。」A.5 生活扶助額の例(令和5年10月1日現在)を参考に算出

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