要望書
- 平成 27 年 10 月 17 日
- 全国女性税理士連盟
- 会長 滝澤 多佳子
消費税の軽減税率導入に反対する緊急要望書
~低所得者対策としては、簡素な給付措置の継続を~
政府与党は、消費税率を 10%に引き上げる際に、軽減税率の導入を検討しているが、軽減税率の導入は、消費税の仕組みに悪影響を及ぼし、かつ、税負担の不公平と国民の社会・経済活動に大きな混乱をもたらすことになる。
全国女性税理士連盟は、軽減税率の導入に強く反対し、低所得者対策としては、簡素な給付措置を継続することを要望する。
1 反対する理由
- (1)軽減税率の導入は、新たな税負担の不公平をもたらす
逆進性対策としての食料品等に対する軽減税率の導入は、食料品等の支出が多い高額所得者への軽減効果の方が低所得者に対する効果よりも大きなものとなり、新たな税負担の不公平をもたらすことになる。
- (2)合理的基準による法的線引きが困難であり、経済取引の中立性を阻害する
今日における取引・商品・サービス等は多種多様化しており、軽減税率の対象とするものと標準税率を適用するものとを合理的な基準で線引きすることが極めて困難であり、経済取引の中立性を阻害することになる。
- (3)実務では対象品目の判断が困難であり、社会的混乱をもたらす
法的に線引きされたとしても、実務的には軽減税率の対象となる商品・サービスであるかどうかについては、判断が困難であり、社会的混乱をもたらすことになる。
- (4)中小事業者の事務負担が増大する
実際の取引に標準税率適用と軽減税率適用のものが混在することから、記帳及び計算・申告等の実務が煩雑となり、特に中小事業者の日常の事務負担が増大することになる。
- (5)税率アップの効果が減殺され、更なる増税を招く
食料品等に対する軽減税率の導入は、8%から 10%への税率アップの効果が減殺され、社会保障関係の財源に充当するとの当初の増税目標を達成することができず、更なる増税を招くことになる。
2 低所得者に対する逆進性対策
逆進性対策は、真に逆進性対策を講じなければならない者を対象とすべきである。低所得者対策としては、税制の複雑化や実施の困難性等を考慮し、当分の間現行の簡素な給付措置を継続すべきである。