要望書
- 平成 26 年 10 月 18 日
- 全国女性税理士連盟
- 会長 滝澤 多佳子
消費税の軽減税率導入に反対する要望書
〜低所得者対策としては、当面、簡素な給付措置を〜
現在、与党税制協議会において、消費税率 10%時に軽減税率導入を目指すとされ、協議が行われているところである。
軽減税率の導入は消費税の仕組みに悪影響を及ぼし、かつ、税負担の不公平と国民の社会・経済活動に大きな混乱をもたらすことになる。
このため、全国女性税理士連盟は、軽減税率の導入に強く反対し、低所得者対策としては、当面簡素な給付措置を講じるよう要望する。
1 反対する理由
- (1)逆進性対策としての食料品等に対する軽減税率の導入は、食料品等の支出が多い高額所得者への軽減効果の方が低所得者に対する効果よりも大きなものとなり、新たな税負担の不公平をもたらす。
- (2)今日における取引・商品・サービス等は多種多様化しており、軽減税率の対象とするものと標準税率を適用するものとを合理的な基準で線引きすることが極めて困難であり、経済取引の中立性を阻害することになる。
- (3)法的に線引きされたとしても、実務的には軽減税率の対象となる商品・サービスであるかどうかについては、判断が困難であり、社会的混乱を引き起こすことになる。
- (4)実際の取引に標準税率適用と軽減税率適用のものが混在することから、記帳及び計算・申告等の実務が煩雑となり、特に中小事業者の日常の事務負担が増大することになる。
- (5)財務省の試算によれば、すべての飲食料品にかかる税率を 5%の軽減税率とすると、3.3 兆円の税収が失われるとされている。このことは、8%から 10%への税率アップの効果が減殺され、社会保障関係の財源に充当するとの当初の増税目標を達成することができず、更なる増税を招くことになる。
2 低所得者に対する逆進性対策
逆進性対策は、真に逆進性対策を講じなければならない者を対象とすべきである。低所得者対策としては、給付付税額控除制度を導入することが検討されているが、税制の複雑化や実施の困難性等を考慮すると、当面は、簡素な給付措置を講じるべきである。