- 平成 23年 4月 13日
- 全国女性税理士連盟
- 会長 大藤 淑子
消費税法の改正要望書
平成 24年8 月10 日に可決成立した改正消費税法において、平成 26年4 月1日から消費税率が8%へ、平成 27年10 月1日から10%へ引き上げられることとなった。
消費税は広く国民全体に税を課すものであり、その税率の引上げの影響するところは大である。社会保障と税の一体改革の一環として国民に新たな負担を強いる以上、社会保障等の抜本改革を早急に進め、かつ、歳出削減にも最大限の努力をすべきである。
全国女性税理士連盟は、租税負担の公平、税制の簡素化及び小規模事業者の負担増への配慮の観点から、以下の項目を要望する。
1 単一税率の維持
低所得者への逆進性を緩和するため、平成 25 年度税制改正大綱の中で消費税率 10%引上げ時に軽減税率制度導入を目指すことが明記された。しかし、複数税率の導入は税制を複雑にし、当取引が軽減税率の対象になるか否かの判断も難しい。事業者の事務負担も一層増大する結果となるため、今後とも単一税率を維持すべきである。
2 逆進性対策
逆進性対策としては、マイナンバー制度による給付付き税額控除の導入が検討されているが、制度の導入には莫大なコストが必要とされ、個人情報の漏洩など様々な問題が指摘されている。したがって、当面は、番号制度を前提としない定額給付などの簡素な措置の採用が望ましい。
3 基準期間・納税義務免除制度を廃止し、小規模事業者に配慮した制度の創設
現在、消費税の納税義務は、基準期間の課税売上高及び特定期間の課税売上高、又は特定期間の給与支払総額が 1,000 万円を超えるか否かで判定されるが、当課税期間の課税売上高に関係なく納税義務の有無が決まるのは不合理である。
また、免税事業者が課税事業者を選択する場合には、課税期間開始前に予め届出が必要であり、本来受けられるべき消費税の還付を受けることが出来ない事例は少なくない。
このような弊害を解消するため、基準期間制度は廃止し、全ての事業者を原則として課税事業者とする。ただし、課税期間の売上高が一定金額以下の場合には、申告を不要とするなどの小規模事業者に配慮した制度を創設することが必要である。
4 簡易課税制度の維持と選択届出制度の廃止
小規模事業者の事務負担への配慮の観点から、みなし仕入れ率を見直した上で簡易課税制度は引き続き維持すべきである。また、簡易課税制度の適用は当課税期間の課税売上高で判定し、申告時に選択可能とすべきである。