- 平成 24年 8月 5日
- 全国女性税理士連盟
- 会長 大藤 淑子
消費税法改正要望書
我が国の財政状態は悪化の一途を辿っており、東日本大震災により一段と危機的状況に陥っている。このような状況のもとで、平成24年3月30日、財政再建に向けて消費税率引上げを含む改正法案(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案)が提出された。
社会保障と税の一体改革である以上、消費税率引上げの前に社会保障等の抜本改革案を具体的に示し、かつ、歳出削減にも最大限の努力をすべきである。また、税率引上げには経済状況を見極め、十分に慎重な判断が必要である。
全国女性税理士連盟は、租税負担の公平、税制の簡素化及び小規模事業者の負担増への配慮の観点から、以下の項目を要望する。
1.逆進性緩和策
消費税率が引き上げられると、いわゆる逆進性の拡大が懸念される。低所得者への逆進性を緩和するためには、何らかの方策が必要である。現在、政府は番号制度を前提とする給付付き税額控除を検討しているが、制度導入には多大な費用がかかるので、番号制度を必要としない定額給付など簡素な措置が望ましい。
逆進性緩和のためには複数税率も考えられるが、税制を複雑にし、課税取引に対する判断も難しく、事業者の事務負担が増大するため、単一税率を今後も維持すべきである。
2.基準期間を廃止し、当該課税期間において免税事業者や簡易課税の適用判定を行うこと
現在、消費税の納税義務は、基準期間の課税売上高及び特定期間の課税売上高、又は特定期間の給与支払総額が1,000万円を超えるか否かで判定されるが、当該課税期間の課税売上高に関係なく納税義務の有無が決まるのは不合理である。
また、免税事業者が課税事業者を選択する場合には、課税期間開始前に予め届出が必要であり、事業予測が難しい小規模事業者には負担が大きい。
そこで、基準期間制度は廃止し、全ての事業者を原則として課税事業者とする。ただし、課税期間の売上高が一定金額以下の場合には、申告を不要とするなどの小規模事業者に配慮した制度を創設することが必要である。
3.簡易課税制度の維持と選択届出制度の廃止
小規模事業者の事務負担への配慮の観点から、簡易課税制度は維持すべきである。また、簡易課税制度の適用は当該課税期間の課税売上高で判定し、申告時に選択可能とすべきである。