全国女性税理士連盟

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活動内容

要望書

平成 23年10月15日
全国女性税理士連盟
会長 吉栖 照美

国税通則法改正案に対する要望書

現在検討されている国税通則法の改正では、当初、円滑な申告納税制度の確立のために現行法にはなかった納税者の権利利益保護についての記述が盛り込まれた。

しかし、納税者の権利利益にかかわる規定に関しては一部を除き、先送りとなり、臨時国会では税務調査の手続きについてのみが審議されることとなった。また、改正案を個別に検討していくと、法改正の目的である国民の権利利益の保護には資さない項目がいくつか見受けられる。納税者の納得が得られる改正とするため、全国女性税理士連盟は、次に示す改正案の一部見直しを要望するとともに、審議が先送りとなった国税通則法の目的の改正、納税者権利憲章の作成及び公表が早期に行われることを要望する。

1 納税者権利憲章の作成及び公表について

当連盟は広く国民の意見を取り入れ、真に国民の権利利益保護を図る憲章の早期制定を望む。

また、納税者権利憲章は公表するだけではなく、納税者が自己の権利を理解した上で課税庁に対応できるように、調査等の際、「税務職員等は納税者に納税者権利憲章を交付しなければならない」と規定するべきである。

2 帳簿類の提出、留置き(改正案第74条の2及び第127条、第74条7)について

第74条の2の調査に係る質問検査権において、帳簿書類その他の物件の提出を求めることができるという規定は削除すべきである。

提出によって帳簿が留め置きされることは、憲法第35条(捜索・押収の制限)に違反することであり、調査は帳簿等を提示することで足りると考える。

よって、提示及び提出を拒んだ場合の罰則規定である第127条第1項3号から、「又は提出」及び「若しくは提出し」の文言、及び第74条7の提出物件の留置きの規定も削除するべきである。

3 調査の事前通知(改正案第74条9)について

(1)通知項目を列挙している第1項には、調査理由を入れるべきである。

現在の通知項目のみでは事前通知が形骸化するおそれがある。調査理由を入れることにより、事前通知を担保し、納税者の負担を軽減させ、円滑な税務調査が行われることになると考える。

(2)事前通知は、少なくとも調査開始日の2週間前までには、納税者(税務代理権限証書を提出している場合には、その税理士)に、書面により通知すべきである。

納税者の営業活動及び私生活に支障を来たすことなく調査を受けるためには、最低限2週間は必要と考える。

(3)第2項「当該書面の交付は調査開始日に行うことができる」の規定は削除すべきである。この文言があることによって事前通知規定の実効性が失われるおそれがある。

(4)第3項の調査を開始する日時、調査を行う場所について「協議するよう努めるものとする。」は、「協議するものとする。」とすべきである。

4 事前通知をしない場合の書面の交付(改正案第74条の10)について

課税庁の裁量による事前通知をしない範囲の拡大を防ぐため、「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には」の文言は削除し、「がある等客観的具体的な場合には」という文言に差し替えて、事前通知をしない場合を限定するべきである。

5 修正申告の勧奨(改正法案第74条の11 第3項)について

調査の終了通知を交付する場合において、税務署等職員は、「納税者に対して修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。」としている。しかし、修正申告書の提出は、納税者が判断することであり、課税庁側の権利のような位置付けで修正申告の勧奨を条文に入れるべきではない。